コウモリは、冬眠する生き物です。
「夏の間はよく見たけど、寒くなったら見かけなくなった!」それは、コウモリがいなくなったからというよりも、冬眠に入って活動を休止したからだと考えられます。
夏の間は屋根裏で飛び回っていたのに、冬になったら静かになることもあります。コウモリが冬眠に入ったことに気づかず、家から出ていってくれたのかと勘違いして無防備でいると、コウモリが冬眠から覚めた春以降にまた騒音に悩まされることにもなりかねません。
今回は、静かになったからといって油断できない、冬のコウモリについてご紹介します。次の春以降にコウモリに悩まされないためにも、コウモリの冬眠中にやっておける対策について、わかりやすく解説します。
コウモリの冬眠には色んなパターンがある
コウモリの冬眠は、種類によってさまざまです。亜熱帯に住む体の大きなコウモリは冬眠をしませんが、日本にいる小型のコウモリは冬眠するとされています。
私たちの身近にいるコウモリは、冬にどのような冬眠をしているのか、詳しく見てみましょう。
雪の中で毛玉のように丸まって冬眠する
コテングココウモリは、北海道に生息しているコウモリです。積雪の中で冬眠する珍しいコウモリとして知られます。
コテングココウモリは、毛玉のように丸まって雪の中で冬眠することで、安定した温度の中で外敵から身を隠しながら冬眠できるのだといいます。
環境に適応した冬眠のスタイルを持つコウモリもいるのです。
アブラコウモリは11月中旬から冬眠する
日本で都市部に広く見られるコウモリは、アブラコウモリという種類です。
アブラコウモリは11月頃から冬眠の準備を始めるとされます。
準備といっても、体温と代謝機能を低くして省エネ時間を長くし、脂肪の消費を抑えることでエネルギーを蓄えます。冬眠が終わるのは3月の下旬頃です。
コウモリは冬眠中に交尾をおこないますが、すぐに妊娠するわけではありません。交尾を終えたメスは未受精の状態で、精子を体内にとどめながら冬を越します。
メスが冬眠を終えて卵子と精子が十分に成熟した状態になってから、ようやく受精が起こります。これは、餌をとりやすい暖かい季節になってから子育てをするための進化の結果だといわれます。
都市部では冬眠しないコウモリも増加中!
アブラコウモリは本来冬眠をする種類のコウモリですが、最近は冬眠しないものも増えています。おもに、寒さの厳しくない都市部で起こっている現象だといいます。
温暖化によって冬でも気温が高くなってきていることが、コウモリが冬眠しなくなりつつあることの原因ともされています。
アブラコウモリはどこで冬眠してる?
夏に日本の都市部でよく見られるアブラコウモリは、一体どこで冬眠しているのでしょうか?
アブラコウモリは夏に人家をねぐらにしていますが、冬場もそれと同様、人間が作った建物の屋根裏や、壁の隙間、戸袋などで冬眠します。
そのため、夏にコウモリが住み着いていたお家で、冬になってコウモリの気配を感じなくなったとしても、コウモリが家から出ていったとは断言できないのです。
コウモリは冬場も変わらず屋根裏などに住み着きながら、冬眠に入ってじっと息をひそめているのかもしれません。
コウモリ冬眠中は駆除の狙い時?答えはNO!
一見、コウモリの冬眠は駆除にとっては絶好のチャンスのように見えます。
しかし、現実は真逆です。冬眠中のコウモリを駆除しようとするのは、あまりよい方法ではありません。
冬眠中に駆除するのがよくない理由
冬はコウモリ駆除するべきではない理由は、端的にいえば、「コウモリを家から追い出しづらいから」です。
コウモリは鳥獣保護法で守られている動物のため、捕獲や殺傷が許されていません。コウモリ駆除としておこなうことの中心は、燻煙剤などを使ってコウモリを家から追い出し、二度と戻ってこないようにすることなのです。
しかし、冬眠中のコウモリは動きが鈍っており、巣から出ていくこともありません。燻煙剤などにも反応しづらい状況になっているため、住処を移動させるのが難しいのです。
コウモリを完全に追い出さないまま侵入経路を塞ぐと、内側でコウモリが餓死します。コウモリの死骸は害虫や雑菌の温床となるため、建物が傷んだり、居住者の健康に悪影響が出たりします。
徹底的なコウモリ駆除をおこなうには、冬ではあまりにも効率が悪いのです。
コウモリ駆除に適しているのは春!
では、どの季節がコウモリの駆除に最適なのかというと、それは春です。
春はまだコウモリが出産を終えておらず、コウモリの数が少ないため、駆除の難易度がさほど高くならないからです。
コウモリの出産時期は初夏から晩夏なので、それよりも前に駆除をおこなうとよいでしょう。
春までにコウモリ駆除方法をマスターしよう
冬はコウモリ駆除には適しませんが、駆除方法の予習をするチャンスではあります。
コウモリたちが静かにしていてくれるうちに、効果的な駆除方法と、守らなければいけない注意点を勉強しておきましょう。
コウモリ駆除の手順
コウモリの駆除は、夕方コウモリが屋外へ飛び立ったのを確認してから始めます。マスクや手袋などで衛生対策をしっかりしてから、駆除に取り掛かりましょう。
屋内に残っているコウモリがいれば、忌避スプレーや燻煙剤などを使って外に追い出します。それから、コウモリの侵入経路となる穴を埋めます。
コウモリは身体が小さいので、1~1.5cm以上の大きさの穴があれば内側へ侵入できる動物です。
建物の壁にあるヒビや隙間、瓦と瓦の間、雨戸の戸袋、通気口なども念入りにチェックして、パテや金網・ネットなどを使って塞ぎましょう。
コウモリを追い出したら必ず掃除と消毒を
コウモリを上手く駆除できたら、しっかりと清掃・消毒をする必要があります。
コウモリはその身体や糞便の中に多くの害虫・病原菌を持っています。コウモリの遺伝子型は人間のものととても近く、人間にとって重大な病気を発症する人獣共通感染症を媒介するおそれがある動物とされているのです。
コウモリを追い出し、侵入経路を塞いだら、コウモリのフンをホウキで取り除きます。
使い捨てられる消毒シートで、ねぐらをくまなくふき取り、袋に入れて縛って捨てます。このとき使った道具は、すべて処分します。
掃除の後は、直接的・間接的に触れた箇所を含めてすべてアルコールスプレーで消毒します。しっかり換気をおこないましょう。
コウモリ駆除は鳥獣保護法と再被害がネック
コウモリ駆除で必ず守らなければいけないのは、「コウモリを絶対に傷つけたり、殺したりしない」ということです。これが、未経験者がコウモリ駆除をしようとするときに大きな壁になるもののひとつです。
コウモリは鳥獣保護法で守られている動物のため、無許可で捕獲・殺傷すると違法行為となり、一年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
もう一点、コウモリ駆除の難点があります。それはコウモリが戻ってくることです。コウモリはわずかな隙間からでも侵入できてしまうので、侵入経路を徹底的に塞ぐことができなければ、ふたたび巣に戻ってきてしまいます。
不安があれば害獣駆除業者に相談が吉!
以上のように、コウモリ駆除には難点が多く、しっかりと駆除するにはコツが必要です。少しでも不安がある場合は、コウモリ駆除のプロの業者に依頼するとよいでしょう。
業者に依頼すれば、健康被害のリスクを減らすことができるうえ、法律に触れるおそれもなく、コウモリが戻ってきて住み着いてしまうという再発の防止にもつながります。
どの業者なら安く確実に作業してくれるのか、気になったら比較サイトの相見積りを利用してみましょう。多くの業者をポイントによって比較検討できるので、満足できる業者を見つけられる可能性が高くなります。
まとめ
冬はコウモリの冬眠の季節です。冬になってコウモリの気配がしなくなったからといって、コウモリが家から出ていってくれたと考えるのは尚早です。
かといって、冬眠しているコウモリを発見したとしても、冬は駆除が難しい季節です。
コウモリでお悩みの冬にすべきことは、「春からのコウモリ駆除の計画を立てる」ということです。コウモリが冬眠しているうちにコウモリの駆除についてよく知っておき、自力でやるべきか、業者を頼るべきかを検討しておきましょう。