コウモリと聞くと洞窟に住んでいたり、古い洋館のまわりを飛んでいたり…とちょっと暗いイメージがありますが、思いのほか人間の身近に住んでいます。夜、空を見上げると普通に飛んでいて姿を都会でも見かけるので、めずらしい生き物ではありません。中には「コウモリが家に住み着いて困った」というコウモリ被害も多数あります。
今回は、近くにいるのによく知らないコウモリについて生態から駆除対策まで解説していきます。
コウモリを知る。コウモリってどんな生き物?
コウモリは益獣とも害獣ともいわれています。益獣といわれる理由は、ゴキブリや蚊といった害虫を食べてくれるからです。対して害獣といわれる理由は人間の住居の天井裏などを住処にして、糞尿をまき散らす被害があるからです。
家に出るのはイエコウモリ
コウモリの種類は1000近くありますが、日本にいるのは300種類です。そしてその中でも家に出るのは「アブラコウモリ」、通称「イエコウモリ」です。イエコウモリとその名の通り人間の住居に住処を作ります。天井裏や軒下、通気口といった小さな隙間にも住み着きます。イエコウモリ自体も小さなサイズなのでわずかな隙間から侵入します。
コウモリの特徴・生態
イエコウモリは自然の多い場所より、都市部といった人間に近い場所で生息しています。人間の住居以外にも、高速道路の高架下も住処になるようです。夜行性で、昼間は巣で休み夕方から夜に活動します。夜、空を飛んでいるのはエサとなる昆虫を捕獲しているのです。
コウモリは翼があり飛べますが、鳥類ではなく哺乳類です。哺乳類の中で唯一、空を飛べる生き物です。出産は年に1回で1~3匹産みます。イエコウモリはあまり引っ越しをする習性がないため、いちど住処を決めるとずっと住み続けます。寿命は差がありますが、平均10年ほどといわれているので、追い出されることがなければ10年は住み続けることになります。
コウモリの不思議。超音波?さかさま?本当のところは…
コウモリは超音波で会話をする、木に止まるときはさかさまである、といった迷信のような話があります。真実はどうなのでしょうか。
コウモリの超音波
コウモリは超音波を使用します。暗い洞窟や夜でも動き回れるのは、超音波でまわりの状況を調べているからです。超音波を発信し、対象物に当たったときの反射の時間や距離、方向、早さなどから、コウモリはどこにどんなものがあるのかを把握します。これを「エコローション」と言います。
この超音波は人間には聞こえません。コウモリの出す周波数は、人間の聞き取れる周波数から外れているからです。
さかさまになるコウモリ
これも本当のことで、コウモリはさかさまで木に止まります。寝るときもさかさまで、どうやらコウモリにとってはいちばんリラックスできる体勢のようです。コウモリは体が小さいため血液の量も少なく、さかさまでも血が頭に上ることはないのです。
飛び立つときもそのまま足を離すだけでよく、さかさまのほうが体への負担も少ないので、コウモリはさかさまで生活をしているのです。
コウモリはどこから家の中に侵入してくるの?
体の小さなイエコウモリは、わずか1.5㎝の隙間があれば侵入できます。換気扇口やクーラーの配管の隙間からでも、イエコウモリからすると簡単に侵入できてしまいます。中には屋根の瓦と瓦の隙間、ヒビの入った壁からという報告もあります。
このようにどこからでも侵入できるのがイエコウモリです。
コウモリ被害。放置はしないで適切な処置が大切
ここまでコウモリの生態や特徴をお話してきましたが、イエコウモリが人間の近くに住んでいることもわかりました。自分の住居を住処にされると糞尿や死骸によって、悪臭や衛生面でも心配になります。天井裏に糞尿をされれば材木が腐り、屋根の張り替えといった大掛かりな工事にもつながります。
イエコウモリがいると感じたら早い対策が必要です。ではそんなイエコウモリが住み着いてしまったら、どうしたら良いでしょうか。
コウモリの捕獲はだめ!法で定められています
実はコウモリの無断捕獲は禁止されています。鳥獣保護法という法律があるからです。そもそも超音波を使うコウモリを捕獲することは難しいのですが、ケガをしていたり弱っているコウモリでも捕獲は処罰の対象となる可能性はあります。このとき、コウモリはダニなど細菌をたくさん保有しているので素手で触るのは避けましょう。
効果的な追い出し方
イエコウモリが部屋に入ってきたときの対処法をお伝えします。
捕まえて外に逃がしてください。ネットがないときは手袋やビニール袋を使うことも可能です。
窓を開けて自然に出ていくのを待ちます。火が苦手なのでケムリのニオイも苦手とされています。線香など炊くのも良いかもしれません。
再侵入の防止も大切
自宅がイエコウモリに気に入られると、うっかり住処にされるかもしれません。そうならないように金網で侵入口をふさぎましょう。再侵入ができないと、イエコウモリも諦めて他を探します。
また、忌避剤を設置することも効果的です。コウモリ用の忌避スプレーや忌避ジェルが量販店にあるので手に入れやすいです。コウモリは夜活動するため、侵入口をふさぐのも夜にしてください。なぜなら昼にふさいでしまうと、コウモリを家の中に閉じ込めることになります。その中で死んでしまったら死骸となって不衛生です。
無理はしないで業者に相談
自分でコウモリ駆除対策をしても完全にできないこともあります。コウモリはいちど巣を追い出されても、安全だと判断すればまた戻ってきます。いちど忌避剤を使用しても永遠に効果が持続するわけではありません。もっともこまめに忌避剤を散布できると良いですが、天井裏のような高所での作業は落下の恐れもあり危険です。ご自分では難しいと感じたときは専門の業者に頼ることも大切です。
業者の選び方
まず大切なのは、コウモリ駆除の知識があることです。プロなら侵入経路をふさぐことはもちろん、駆除したら二度と戻ってこなくなるような対策をしてくれます。万が一戻ってきてしまった場合のために無料保証がついているときもあります。
また、糞や死骸の掃除と除菌もしっかりしてくれる業者を選んでください。そして料金の見積り書も明朗会計であることを確認しましょう。
まとめ
コウモリ益獣である一方で害獣でもあります。「最近イエコウモリがよく飛んでいる」と思ったら点検をしてみてください。早く気付くことができれば被害も少なく、対処も自分でできるかもしれません。
すでに住処として居住し繁殖をしていたり、駆除しにくい場所に巣がる場合は自力での対処は難しいです。対応が難しいと判断したら、コウモリ駆除のプロへ相談することも大切です。被害が拡大する前にできるだけ早い対処をして、大切な自宅と家族の安全を守りましょう。