毎晩、屋根裏や軒下でカサコソ。突然部屋にまで舞い込んでくる黒いギザギザのシルエット。ハロウィンでもないのに、家族団らんの主役をコウモリに奪われてしまったことはありませんか? コウモリは驚くほど種類が多く、その数はおよそ980種にものぼります。大きさは数センチから2メートル級まであり、世界各国の街や自然の中で生息しています。
日本の市街地や住宅地でよく見られるのはアブラコウモリ(イエコウモリ)という種類で、コンパクトなサイズにフワフワとした被毛もあるため、「ちょっと可愛い」と感じる人もいるかもしれません。しかし、多くのコウモリに共通していえることは、彼らが潜む場所や暮らしぶりをズームアップした場合、さながら地獄絵図を見るはめになるということです。
今回はコウモリの撃退法と、コウモリ以上に危険ともいえる置き土産「糞尿」の処理の重要さについてご紹介します。
素手で戦うのは命知らず?!雑菌とノミ・ダニだらけのコウモリ!
不気味なイメージが先行するコウモリですが、実は害虫を食べてくれる「益獣」でもあります。しかし、益獣に分類されながらも、自らの大量の排泄物で大量の害虫を呼び寄せるという矛盾した存在でもあります。思わず目を覆いたくなるコウモリの実態…彼らの危険レベルと、駆除の難易度の高さは想像以上かもしれません。
その絶大な不潔さで危険度はネズミ以上!コウモリの生きざまと雑菌と寄生虫
コウモリと切っても切り離せない存在として代表的なのは、コウモリの糞を好物とするゴキブリやウジ虫です。さらに、これらを捕食するムカデ、オオゲジ、アシダカグモなども揃い踏みとなり、そのステージとして選ばれた家は、まさに身の毛もよだつ不衛生スポットと化してしまいます。
ただ存在するだけで超不潔な環境を作り出すことができるコウモリですので、自身も当然、細菌やノミ・ダニなどの寄生虫でフル装備です。そして彼らの大量の糞にはカビがはびこり、糞にたかる害虫たちがサルモネラ菌やコレラ菌を運んでくるという、恐るべき不潔スパイラルが渦巻いていくことになります。
軒下や屋根裏からこういったものが粉塵となって飛ばされ、そうとは知らずに日々吸い込んでいるとしたら…?もう、今すぐにでも出て行っていただきたい存在でしかありませんね。とはいえ、コウモリに安易に手出しするとどのような危険が発生するか、すでにある程度ご想像いただけるのではないでしょうか。
噛みつくコウモリ。糞だけでなく唾液にも注意!
この時点で、直接コウモリと触れ合おうと考える方はほぼ存在しないかもしれませんが、素手でのコウモリ駆除はとにもかくにも避けましょう。飛び移ってきた寄生虫や細菌などでアレルギーを起こす危険があります。コウモリの唾液にも要注意です。もしコウモリに噛まれてしまった場合、唾液を介してどんな病原体に感染するか分かりません。
海外では死亡者も…コウモリを介して感染する恐れのある病気
日本に生息するコウモリとの接触で、感染病が報告された例は近年ではないとされています。しかし、海外ではコウモリに噛まれたことが原因で病死した例も報告されています。日々変化し続ける環境の中、今後も日本でそのような被害が起こらないとは言い切れないでしょう。コウモリとその寄生虫などが媒介となって、感染する恐れがあるのは下記の感染症です。
- 狂犬病
- ヒトプラズマ症
- アルボウイルス感染症
- ハンタウイルス感染症
コウモリを甘く見ないためにも、予備知識として念頭に置いておくといいかもしれません。
コウモリたちがお気に入りの場所ベスト3!場所ごとの駆除方法
コウモリ撃退に着手するなら、繁殖期である7~8月を避け、夕方以降にすべてのコウモリが外へ出たのを確認してから開始しましょう。追い出す際の接触を最小限にできますし、コウモリを閉じ込めて天井裏に死骸が残る、という惨事を防ぐこともできます。ここからは、手出ししづらい上に図々しいコウモリたちの、代表的アジト3つと各エリアでの撃退法についてご紹介します。
勝手にバカンス中?ベランダでくつろぐコウモリを追い出す方法
いつも隠れているイメージがあるコウモリたちが、白昼堂々ベランダに張り付いて休んでいる姿には、違和感と同時に腹立たしさを覚える人も多いでしょう。泥でも投げつけられたかのような黒い塊は悪目立ちしますし、人目も気になります。コウモリをキッチリ追い払いたいなら、まずは環境のチェックをしてみてください。
庭や敷地内のどこかに、コウモリが餌とする小さな虫が湧くような場所がありませんか?ゴミに集まる羽虫や、溜まった雨水などに湧くボウフラにコウモリは寄ってきます。まずはそのような原因を排除し、コウモリに好まれない環境に整えましょう。ボウフラ対策になる蚊取り線香の煙は、蚊だけでなくコウモリも苦手ですのでおすすめです。
また、超音波発生装置を置いたり、ベランダや軒下に不要なCDなどの光を反射するアイテムを吊るしたりする方法も効果があります。コウモリは超音波を頼りに移動しているため、それを阻害するものを嫌い、寄り付かなくなるようです。
ストーカーなの?戸袋の中にひっそり隠れたコウモリを追い出す方法
開け閉めする時に室内へ入られてしまう可能性のある、戸袋の中のコウモリ。近すぎて気持ち悪い限りですが、狭くて道具も入らないし…と見なかったことにしている人はいませんか?その状態はコウモリにとってもよくありません。「今日は雨戸の滑りが悪いな」と強引に押し引きしていたら、見るも無残な姿となったコウモリが…!そんな後味の悪い話も聞きますので、下記の方法できちんと追い出してあげた方がいいでしょう。
- 効果が持続するジェルタイプの忌避剤を使って追い出す。
- コウモリよけの強力磁石を設置する。
- DVDやCDなどの光を反射するものを吊るす。
すっかり住人気取り?屋根裏で快適そうに暮らしているコウモリを追い出す方法
夜になると寝室の天井からワサワサ、パリパリと音が聞こえ、「飛んでいるな」「這っているな」と、まるで同居人かのように様子が分かってしまうのが嫌ですね。屋根裏でくつろぐコウモリたちも、忌避スプレーや蚊取り線香などで追い出すことができます。部屋でバルサンを焚いたら逃げ出していった、という報告もあるようです。
屋根裏や天井裏での対策で最も重要なのは、追い出したあとに侵入経路をすべて完全に封鎖することです。1cmどころか数ミリの隙間からでも入ってくる個体もいるようですので、この作業は家の細部まで把握したDIY職人でもない限り、かなりの困難を極めるのではないでしょうか。夕方から夜間という時間に、暗所かつ高所での作業をするには十分な注意が必要です。
その上で、下記のような手順でコウモリの侵入経路を塞いでいきます。
- 閉じ込め防止のため、コウモリがいないことを確認する。
- 侵入口となりそうな隙間を一つ残らずパテで埋める。
- 範囲が広い場所は金網を使って塞ぐ。
エアコンの通気口から侵入してくることもあり、そのような場合は素人判断で対処すると故障の危険もあるため、専門業者に問い合わせた方がいいでしょう。
コウモリを追い払っても、残された大量の糞は?また戻ってきたらどうする?
コウモリはわずかな隙間からでも果敢に侵入してきますので、しっかりすべての経路を封鎖したつもりでも、また入り込まれてしまうケースが多いです。その上、完全封鎖ができたとしても、現場にはまだ最大の問題が残っています。
置き土産が多すぎ…コウモリが去ったあとに染み付いた糞尿、寄生虫はどうする?
ここでもう一度、冒頭にあったコウモリの生きざまを思い出していただかなくてはなりません。あなたの食卓や寝室から壁一枚へだてた場所に、確かに存在しているその光景。毎日せっせと室内をきれいに掃除しても、屋根裏や軒下にそんなものが残っていては心からスッキリできませんよね。コウモリの糞の山を片付ける時は、次のような手順で行います。
- 手袋(肘までの長いタイプが望ましい)と、雑菌の吸い込みを防ぐマスクを装着。
- 捨ててもいい不要な服で、えり・そで・すそがなるべく詰まったものを着る。
- 糞にたかる害虫用のスプレーと殺菌剤を手元に用意。
- 大小のホウキ、ちり取りなどを使い、ほこりを巻き上げないよう糞を回収する。
- 掃除した場所、衣服、道具すべてを殺菌剤で消毒し、捨てるものは密閉して廃棄。
高所で危険な場合や、狭くて入れない、範囲が多すぎて自分では無理と感じたら、迷わずコウモリ駆除のプロに託すのが正解です。残っていたコウモリを完璧に追い出し、専門用具を使い徹底した掃除を施してもらえるはずです。
撃退したはずのコウモリ再び!出戻り、ご新規さん、みんなまとめて防ぐ方法は?
自己処理では塞ぎきれなかった場所や、新たな隙間、別の空間にも目をつけて何度でも舞い戻ってくるコウモリ。先祖代々、人間の家が自分たちの家であると認識しているわけですので、そんな相手を永久追放するには一筋縄ではいきません。再びコウモリの被害がおきてしまったら、もう一度ここまででご紹介した方法を入念に行うしかありません。
コウモリは繁殖力が強いため、放っておくとどんどん増えていってしまいます。早めに手を打つか、お手上げであればやはり業者に任せるのが、最も確実な方法かもしれません。コウモリ退治は危険性が多岐にわたることと、法律に絡んだ注意点もあるため、素人には特に難しいのです。
実は法律で守られた絶滅危惧種?!コウモリ退治は、お互いケガせず遂行したい…
私たち住民にとっては害獣として駆除の対象となるコウモリですが、「益獣」とされることもあります。また、実は法律のもとでは捕獲・狩猟が規制されています。不用意に傷つけてはならない存在なのです。
コウモリは「鳥獣保護法」で守られた生き物。無断での捕獲や殺処分は禁止されています。
コウモリは昆虫を主食としており、庭にはびこる蚊やカメムシなどの多くを処理してくれるという大切な役割も持っています。こうした益獣としての側面があることと、絶滅危惧種に指定された「モリアブラコウモリ」に酷似した生態であることから、駆除する場合は自己判断で法に触れないよう細心の注意が必要です。
法律や再被害が心配なら、害獣・害鳥駆除のプロに相談すると安心。
素人には難題だらけのコウモリ駆除ですが、業者に追い出しから掃除、再被害の防止までをまとめて依頼することも可能です。コウモリの性質を把握し、安全な駆除方法と再来を防ぐ知識を持ったコウモリ駆除のプロに任せれば、問題を根こそぎ片付けてもらえるでしょう。
害獣駆除の業者はたくさんありますが、対コウモリとなると特に知識と技術が必要ですので、しっかりコウモリ駆除の実績がある業者を探すようにしてください。料金が気になる場合は、いくつかのホームページなどで料金設定を確認し、さらに相見積もりを取ってどの業者のサービスが自分に適しているか判断するといいでしょう。
基本料金はもちろん、作業内容の詳細とそれぞれにかかる値段、出張費なども先に明記している業者が安心です。不明な点が多い業者は詐欺などの心配もあるため、即決せずきちんと比較して選ぶと安心でしょう。
まとめ
コウモリ撃退の際に忘れてはならない点は、衛生面で厳重注意する必要があることと、追い出し・侵入防止のための作業が、素人には危険かつ非常に手間がかかることです。しかも再被害をこうむる率がとても高く、頭を悩ませ続ける人が後を絶ちません。
コウモリ駆除は、適切な季節や時間帯を踏まえた上で、完全にコウモリたちを追い出してから行わなければならず、何とかそれができても、残された大量の糞や害虫などを撤去・殺菌するという大仕事が残っています。再被害防止には、家だけでなく敷地内の環境も見直し、屋根裏などのあらゆる隙間をパテや金網などで塞ぐ必要があります。
しかし、コウモリは高所や狭所に住み着くため、そんな場所で彼らを追い出して掃除や殺菌作業を行うのは相当困難です。鳥獣保護法で守られた存在でもあり、高い技術と知識が必要となるコウモリ駆除は、すべてをクリアできる業者に一任するのが最も安全で、満足のいく効果と安心を得られるでしょう。