ベランダなどでコウモリの赤ちゃんを見つけたことはありませんか?自然が豊かな場所だけでなく、コウモリは市街地にも生息しているので、今後コウモリの赤ちゃんを見かけることがあるかもしれません。
コウモリは「吸血鬼」「夜に飛び回る」など、なんとなく怖かったり不気味なイメージを持ったりする方も多いでしょう。そんな印象とは裏腹に、コウモリの赤ちゃんは翼の生えた子犬のような見た目をしています。とてもかわいいため、飼いたいと思う人も増えています。
しかし、コウモリの赤ちゃんを保護するには注意が必要になります。この記事では、コウモリの赤ちゃんを飼う方法やリスクなどについてご紹介します。
コウモリの赤ちゃんは素手で触ってはいけません!
とてもかわいらしい見た目をしているコウモリの赤ちゃんですが、取り扱うときに徹底しておかなくてはならないことがあります。それは、「コウモリの赤ちゃんを素手で触らない」ということです。コウモリの赤ちゃんには「シラミ」「ダニ」などの寄生虫やカビ菌が確実に付着しています。
日本に生息しているコウモリは、襲い掛かったり家の周りを荒らしたりすることはありません。しかし、人間に感染する病原体を持っていることもあるので、感染を防ぐためにもマスクを着用し、触るときは素手では触らず軍手などを活用しましょう。
コウモリの赤ちゃんは保護しても大丈夫なの?
犬や猫、ハムスターなどのかわいいらしい動物をペットとして飼う人が増えました。コウモリの赤ちゃんを飼いたいと考える人も多いのではないでしょうか。この章では、コウモリの保護についてご紹介します。
結論から言うと、コウモリを保護するのは「鳥獣保護管理法」という法律で禁止されています。鳥獣保護管理法とは、野生動物の生態系・国民の生活や健康、事業の発展などを守るために制定された法律です。コウモリの赤ちゃんを無断で飼育したり捕まえたりすると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金などを科せられてしまいます。
保護できる期間は市役所や区役所などに聞いておこう!
だからといって自宅の周辺で弱っているコウモリの赤ちゃんを見て、そのまま放っておくのも心が痛いですよね。じつは、弱っているコウモリやケガを負っているコウモリの赤ちゃんは一時的に保護することが可能です。
近くの市役所や区役所に電話して、コウモリの赤ちゃんを保護したことを伝えましょう。都道府県ごとに設置されている「環境管理事務所」が近くにある場合は、そちらでも対応してもらえます。
コウモリの赤ちゃんを保護するリスク
コウモリの赤ちゃんを保護することは、さまざまなリスクと隣り合わせです。この章では、コウモリの赤ちゃんが及ぼす3つのリスクについてご紹介します。
フンによる病原菌の感染
コウモリをはじめとした野生動物には、さまざまな菌があります。コウモリの体だけでなく、コウモリのフンにも注意が必要です。もしも触れてしまった場合は、感染症による出血、高熱、脳炎などを防ぐために、触れてしまった箇所とフンのあった場所をアルコールでしっかり消毒しておきましょう。
また、コウモリのフンは崩れやすく、菌が空気によって飛散されやすいです。放置しておくだけでも、害虫の発生や不衛生の原因になりかねません。また、犬や猫などのペットを飼っている場合、コウモリのフンを誤飲してしまうことがあります。
動物が動物のフンを食べてしまう分には大きな問題がありませんが、コウモリのフンを食べたあとは口に菌が付着してしまいます。菌の付着した口で飼い主の手などを舐めてしまうと、菌が蔓延してしまうかもしれません。ペットがコウモリのフンを食べてしまった場合は、しっかりと口を拭いてあげるようにしましょう。
コウモリに寄生するダニによる被害
コウモリに触れなくても、コウモリの体内に潜むダニやカビ・ノミなどによってアレルギー反応を起こしてしまう可能性があります。コウモリは、「コウモリマルヒメダニ」など人間に感染するダニをつけている可能性があります。コウモリマルヒメダニは、湿疹やかゆみなど、アレルギー症状を助長させてしまうので気をつけましょう。
コウモリ独特の悪臭
コウモリのフンは病原体がついているだけでなく、悪臭をまき散らします。においの特徴としては、汚れたドブや池などに似ていて酸っぱさを感じる臭いです。想像しただけでもかなり不快な臭いですね。
コウモリは、目につく場所・狭くて見づらい場所どちらにもフンをします。どこにフンがあるのかわからないので、こまめに掃除をして見つけ次第すぐに片づけるようにしましょう。
コウモリの赤ちゃんを育てるなら知っておきたいこと
弱っているコウモリの赤ちゃんを保護したはいいが、何を食べるのか、どうやって保護すればいいのかわからない方も多いでしょう。この章では、コウモリの赤ちゃんを育てるときに知っておくべきことをご紹介します!
コウモリの赤ちゃんが食べるもの
われわれ人間が食事をするのと同じで、どのような動物・生き物を育てるにも、コウモリにとってもエサを与えられることはとても大切です。弱っているコウモリにエサを与えないと、命にかかわることもあります。
コウモリは水と虫を主食しています。水は、スポイトやガーゼに水を含ませながら与えましょう。虫は、釣りで使われるミールワームのような小さな虫を活用します。コウモリの赤ちゃんがエサを食べないときは、虫が大きすぎて食べられない、もしくはお腹がいっぱいなのかもしれません。
飼育する場所
コウモリの赤ちゃんは屋外で飼育するようにしましょう。理由は、コウモリやコウモリのフンにはたくさんの菌を持っているので、屋内で保護すると感染の危険を伴うからです。屋外にダンボールを置いて様子を見ながら飼育するといいでしょう。
コウモリの赤ちゃんをうっかり素手で触ってしまったときは、家族やペットに感染するのを防ぐためにしっかり手を洗ってから、消毒しておきましょう。
触るときの格好
コウモリの赤ちゃんは素手で触ると、感染してしまう危険性があるため、もし触る場合は、ゴム手袋などを活用して素肌を見せないようにする必要があります。
また、空気による飛散を防ぐために、マスクの着用も有効的ですね。
最終的には野生に戻すか市役所などに相談しましょう
エサをあげたり、丁寧にお世話してあげたりと愛情をこめて保護しているうちに、いつの間にか家族の一員のような気持ちになってしまうかもしれません。保護した場合は、最終的に野生に返すことを頭に入れておくといいでしょう。市役所や区役所、保護窓口に相談してみるのもいいですね。
「飼っていると愛情がわいてしまうかもしれない……」と思う方は、保護する前に、コウモリの赤ちゃんを保護窓口で引き取ってもらうことをおすすめします。
まとめ
これまで、コウモリの赤ちゃんについてご紹介してきました。
かわいくて愛情がわいてしまいそうなコウモリの赤ちゃんですが、勝手に保護・駆除したり、飼ったりしてはいけません。しかし、市役所などに相談して一時的に保護することは可能です。
コウモリの赤ちゃんを保護する場合は、コウモリやコウモリのフンに含まれる菌から感染しないように対策をしましょう。弱っているコウモリの赤ちゃんには、コウモリのエサである水や虫をきちんと与える必要があります。
長期的に飼うことは不可能であり、大変難しいのです。かわいらしいですが、早く野生に返してあげることがコウモリに対して一番の選択肢といえるでしょう。