コウモリに対して、よいイメージを持っているかたは少ないと思います。「もしかしたら、家の中にコウモリがいるかもしれない」と思ったら、一刻でも早く駆除したいですよね。
コウモリを駆除するには、コウモリについてある程度の知識がないといけません。知らずに駆除しようとすると、警察に捕まってしまう可能性だってあるのです。今回は、コウモリの危険性と駆除の方法を、ただしく学んでいきます。
コウモリが怖い!そう思ったときに知っておきたいこと
どんな動物であれ、動物園やペットショップでみているには大丈夫ですが、突然、自分の部屋や家にあらわれたらギョッとしますよね。でも、その動物がどのような生態であるのかがわかっていれば、少しは対応しやすくなるものです。
得体のしれないコウモリでも、実態を知れば、突然遭遇しても多少は怖さが薄れるかもしれません。そこでまずは、コウモリの生態についてみていきましょう。
コウモリの生態
日本でよくみられるコウモリは「アブラコウモリ」と呼ばれる種です。アブラコウモリは暖かい住宅を好んで、天井裏などを巣にすることが多いため、「イエコウモリ」という名称で呼ばれることもあります。
体長は5cmほどで、重さはわずか10gほどしかありません。小さい身体ゆえに、わずかなすき間からでも人家へと侵入することができます。一説では、自分より小さな約2~3cmほどの穴でも、くぐり抜けることができるといわれているそうです。
家の中で鳴き声がする!コウモリの鳴き声は?
実は、コウモリは人間の耳には聞こえない周波数で鳴いています。そのため、鳴き声だけではコウモリの存在に気が付かないことがほとんどです。
しかし、コウモリは危険を察知したとき、いつもとは違う「キィキィ」という鋭い鳴き声を出します。これでコウモリの存在に気がつくかたも多いでしょう。それに加えて、飛び回る羽音が聞こえたら、コウモリが家にいる可能性が十分に高いと考えられます。
怖いのは見た目だけではない……。コウモリに潜む危険性
黒い身体で、べったりと壁に張り付くさまはどこか不気味なところがあります。しかし、コウモリが怖いのは、見た目だけではないのです。
コウモリに潜む危険性について知らずに、コウモリを触ったり、追い払ったりとすると思わぬ病気にかかってしまうことがあるため、注意が必要となります。
フンによる被害
コウモリは、フンをたくさんするということで知られています。多いときでは、1日に4個以上もフンをすることがあるのです。そのため、コウモリがいる場所にはフンが溜まりやすい傾向にあります。
コウモリのフンは、伝染病を媒介する病原菌を保有しているため、ただしく掃除をしないと、重大な病気にかかってしまう可能性もあるでしょう。コウモリのフンを駆除する際には、乾燥して空気中に漂っているフンの粉を吸い込まないよう対策することが大切です。
ダニによる被害
コウモリの身体には、細菌や寄生虫がたくさん付着しています。とくに、「コウモリマルヒメダニ」というダニが付着していることが多いです。
このダニが人間に寄生してしまうと、アレルギー反応を引き起こす場合があるので、コウモリを見つけても不用意に触らないようにしましょう。
狂犬病による被害
狂犬病とは、犬の伝染病です。狂犬病ウィルスに感染した動物に噛まれることによって発症します。また、感染した動物の唾液が傷口に入ることでも感染することがあります。
狂犬病は、感染するとほぼ100%死亡するといわれているおそろしい病気です。また、狂犬病にかかってしまうと、幻覚や錯乱がおきたり、水を飲むことを怖がったりする症状がでることもあります。そして、やがて全身の臓器に障害が起こり、死に至ってしまうのです。
そんなおそろしい狂犬病のウィルスを、コウモリが媒介していることがあります。日本では狂犬病に感染したという報告は半世紀以上されていませんが、インドや中国ではいまだに感染が確認されています。まだまだ注意をするべき病気だといえるでしょう。
事前に確認!コウモリを駆除するときの注意点
家にコウモリがいる場合には、一時も早くコウモリを駆除したいですよね。コウモリは感染症も媒介し、放っておくとフンによる被害が拡大してしまいます。
「じゃあ、自分で駆除してしまおう!」とお思いのかた、ちょっと待ってください。コウモリを駆除したら、捕まってしまうこともあるのです。
コウモリは勝手に傷つけることはできない
人に害を与えるコウモリですが、無許可で駆除することはできません。コウモリを傷つけると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられてしまうことがあります。
これは、「鳥獣保護法」という法律により、野生の動物を無許可で殺傷・捕獲してはいけないと定められているからです。
つまり、家にいるコウモリなどは、むやみに駆除することができません。コウモリ駆除の業者でさえ、殺処分することはほぼないのです。その代わりに、追い出したあと、再度侵入してくることがないように、建物に施工をおこないます。
素手で触るのは絶対NG!
コウモリを素手で触れるのは、絶対にやめましょう。先ほどもお伝えしましたが、コウモリは感染症や病原菌をたくさん媒介しています。素手で触ると思わぬ感染を引き起こすことがあるので危険です。
しかし、コウモリが気になる場所にいて、一刻も早く追い出したいときもありますよね。そういった場合には、手袋をつけて追い出すようにしましょう。また、フンから舞う粉を吸わないためにも、マスクを装着して作業するようにしてください。
コウモリの駆除法
「コウモリが家に住み着いてしまったようだ……。いち早く撃退したいけど、どうすればよいの?」そう思うかたも多いと思います。
この章では、コウモリを追い出したいときの対処方法をお伝えします。コウモリの習性を知ってから撃退作業に入ると、効率よく駆除することができるはずです。
コウモリの駆除に最適な時期や時間帯
コウモリを撃退する季節は、春と秋がおすすめです。春なら、まだコウモリが幼いうちに撃退することができるでしょう。
また、コウモリは冬になると冬眠してしまいます。冬眠中のコウモリを追い出すことは至難の技です。そのため、コウモリが冬眠する前の秋もねらい目の季節といえるでしょう。
駆除の時間帯は、日没を選ぶことがポイントとなります。夜行性であるコウモリは、日中は巣でおとなしくしていることが多く、発見するのが難しいからです。
なお先ほどもお伝えしましたが、コウモリを撃退する際に「捕獲」や「殺傷」は絶対にしないようにしましょう。「鳥獣保護管理法」に引っかかってしまいます。あくまで、「撃退」のみです。重要なポイントなので絶対に忘れないようにしましょう。
【駆除方法1】スプレーやジェルを使う
コウモリを追い払いたいときには「スプレー」や「ジェル」を使用しましょう。一般的に、コウモリはハッカの香りが嫌いだといわれています。そのため、ハッカの香りがするスプレーをコウモリがいる場所に散布することで、コウモリを追い出すことができるのです。
しかし、その場所がコウモリのお気に入りの場所だったり、巣にしていたりした場合にはコウモリがまた戻ってくることがあります。
そういった場合は、効果が一時的なスプレーよりも、香りの持続するジェルタイプのものをつるしておくと効果が長くもちます。
【駆除方法2】燻煙剤を使う
「燻煙剤」という、コウモリの嫌がる煙を発生させるアイテムを使用することで、コウモリを撃退する方法もあります。ネズミ駆除用の燻煙剤であっても、屋根裏にいるコウモリになら効果があるそうです。
しかし、コウモリがシャッターボックスなどにいる場合には、この方法は使えません。コウモリのいる場所にあわせて、臨機応変に対応していくことが大切です。
コウモリをもう見たくない!コウモリが家に入ってこないための対策
一度家に住み着いてしまったコウモリを駆除するのはとても大変です。「コウモリが入ってこない家づくり」をする必要があるといえるでしょう。
「コウモリが入ってこない家づくり」は、コウモリの侵入経路などをふさぐことによって実現することができます。「どこから侵入しているのかな?」ということを考えながら、対策をするとよいでしょう。
侵入経路をふさぐ
コウモリは、ある場所にとどまって大量のフンをする傾向があります。コウモリのフンは、ぼろぼろと崩れやすいのが特徴です。フンを見つけた場合には、その近くにコウモリがいる可能性が非常に高いため、まずはコウモリのフンを探しましょう。
コウモリが侵入してきやすい場所には、クーラーの室外機のパイプなどがあげられます。なんと、クーラーの中で生活していることもあるのです。フンのある場所の近くはしっかり、侵入経路をふさぎましょう。
穴や隙間をふさぐ
侵入経路をふさぐだけではコウモリがまた侵入してくる場合があります。少しの穴や隙間を見つけたら、コウモリはすぐに侵入してきてしまうのです。そのため、巣の出入り口となりそうな穴や隙間を発見したら、しっかりと埋めましょう。
家に入ることができなくなったコウモリは、新たな場所を求めて、どこかへ旅立っていってくれるはずです。
光の反射するものを貼り付ける
コウモリが飛行するためには、必要な音波があります。しかし、CDやアルミホイルなどの光を反射するものにはコウモリの飛行に必要な音波を妨害する効果があるのです。
コウモリを引き寄せないためにも、いらなくなったCDなどを置いておくとよいかもしれませんね。
【番外編】コウモリは怖いだけじゃない!じつはかわいい一面も
あまりよいイメージのないコウモリですが、種類によっては人になつくものもいます。その名は「フルーツコウモリ」です。目が大きく、耳が小さくて、かわいらしい顔をしています。名前も何ともかわいらしいですよね。
フルーツコウモリは、果実を吸って生きています。エサはバナナとリンゴだけでも大丈夫です。気になる方は、フルーツコウモリについて、さらに詳しく調べてみてはいかがでしょうか。仲良くなると、飼い主の顔を覚えてくれて、抱きついてくることもあるんですよ。
まとめ
コウモリは身体が小さく、少しのすき間でも軽々と侵入してくる動物です。
また、コウモリの身体やフンにはたくさんの雑菌が含まれており、衛生的にも注意が必要となります。むやみに野生のコウモリを触ることは絶対にやめましょう。鳥獣保護法による罰則規定もありますので、コウモリを撃退したいときは殺傷・捕獲しないように気をつけてください。
もしコウモリを家の中で見かけたときは、本コラムを参考に、撃退してみてくださいね。「怖くてひとりでは対処できない!」という場合には、業者に依頼して力を借りるのもよいでしょう。