コウモリが家に住みつくと、羽音による騒音やフンによるさまざまな被害が起こることがあります。はじめのうちは軽い被害でも、建物に住んでいる人が穏やかな生活を送れなくなるほどの大きなトラブルにまで発展することも考えられるでしょう。そのため、コウモリを駆除する必要が出てきます。
しかし、実際に自分で駆除しようとするときには、コウモリを直接つかまえたり、駆除したりして傷つけることはできません。法律で禁じられているからです。駆除をおこないたい場合は、この点に十分留意して正しい方法を選ばなければ、法律違反になってしまいます。
コウモリを傷つけずに効果的に追い出すには、コツがあります。本コラムでは、効果的な追い出し方や侵入口を塞ぐ方法について説明いたしますので、ぜひコウモリ駆除の一助としてお役立てください。
コウモリの駆除は「追い出す→侵入口を塞ぐ」が基本
コウモリを駆除するときは、コウモリを追い出してから侵入口を塞ぐという順序が重要です。殺処分など、ある意味手っ取り早い駆除方法は、コウモリの生態と法律のふたつの理由から、おこなえないことになっています。
法律違反にならない方法で、効果的なコウモリ駆除をおこなうために、まずは日本のコウモリがどのような種類で、どのような生態を持っているのかを知っておきましょう。
家に住みつくコウモリの種類
日本国内で家に住みつくコウモリはほとんどが「アブラコウモリ」で、「イエコウモリ」とも呼ばれます。身体がとても小さく、1.5センチメートルほどの隙間なら簡単に出入りできるのが特徴です。夕方になるとねぐらから外へ出ていき、街灯などに集まる小さな虫を食べて、4~6時間ほどするとねぐらに戻ってきて眠ります。
アブラコウモリは虫を食べているコウモリで、人間の血を吸うことはありません。性格も穏やかで、危険を感じたとき以外には人間を直接攻撃することはほとんどありません。しかし、住みついた建物を糞で汚染するうえ、そこで生活している人間に病原菌感染などの健康被害をもたらすという、とても厄介な一面を持つ害獣です。
コウモリは法律で守られた動物
コウモリは、鳥獣保護法という法律で守られている動物です。コウモリやその子どもを傷つけたり、殺したり無許可で捕獲したりした場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
この鳥獣保護法があるため、コウモリ駆除ではできることが限られます。コウモリを傷つけないように注意しながら、家の中から追い出す必要があるのです。
コウモリ駆除に効果がある時期
コウモリ駆除をおこなうのに最適な時期は4~6月と10月です。コウモリは夏に子育て・冬に冬眠をするため、コウモリを屋外に誘導するのが難しくなるのです。
コウモリを駆除するには、日が暮れ始めてコウモリが自然にねぐらの外に出る時間帯を見計らってからおこないます。しかし、駆除が難しい時期に駆除しなければならなくなった場合は、コウモリ駆除専門の業者に依頼しましょう。
では次の章で実際に、コウモリ駆除の具体的な手順を見てみましょう。
コウモリ駆除1.追い出す方法
コウモリの駆除で最初に重要なのは、「傷つけずに追い出す」ということです。コウモリを追い出すには、市販されている撃退グッズを使います。コウモリの生活圏は危険な病原菌が漂っているため、防護メガネ、マスク、ゴム手袋、雨がっぱを着込んだ完全防備の服装で対処しましょう。
有効範囲によって使い分けが必要となる場合がありますので、コウモリが潜んでいる場所ごとに最適な方法をみていきましょう。
1.狭い範囲なら「コウモリ撃退スプレー」で追い出す
狭い範囲にいるコウモリを追い出したい場合は、「コウモリ撃退スプレー」を使いましょう。軒下や戸袋の中、換気扇の内側など、狭い場所いるコウモリに有効です。
スプレーの口にノズルがついているためピンポイントでコウモリに噴射できるのが特徴です。狭い場所で使うことを目的として設定されているため、広い場所での使用には適しません。
コウモリが嫌うナフタレンやハーブ系の香りを使用したものが多く、強烈なにおいでコウモリを追い払うしくみになっています。効果は3~6時間ほど続くものが一般的です。
2.広い範囲なら「燻煙剤」で追い出す
屋根裏など、広い範囲に住みついているコウモリを追い出したい場合には、燻煙剤タイプのコウモリ駆除剤を使います。こちらも、コウモリが嫌いな植物の香りが使われているので、コウモリを殺すものではありません。
手のひらよりも少し大きいサイズの缶の中に、個包装になった薬剤と水が入っています。製品使用手順のとおりに入れて、煙が出てきたら使用開始の合図です。
燻煙剤の場合は、ねずみ用の燻煙剤を代用することができます。その際には、ねずみを殺処分するものではなく、「嫌いなニオイで追い出す」という用途のものを選んで使用しましょう。
超音波で追い出すことはできるの?
超音波をコウモリに当てることによってコウモリを混乱させ、追い出すことができる場合もありますが、一時的にしか効果が持続しない場合が多いです。徹底的に追い出したい場合は、超音波よりも薬剤(忌避剤)を使ったほうがよいといえます。
超音波による対策の効果が薄い理由には、次のようなものがあります。
- 超音波はまっすぐしか進まず、コウモリに直接当てるのに手間がかかる
- コウモリが超音波に慣れる
- コウモリが自分の使用する超音波を変化させ適応する
以上のことがおこると、超音波によるコウモリ駆除はほとんど意味をなさなくなってしまいます。「はじめから効果的な駆除をおこないたい」と思う方は、超音波ではなくスプレーか燻煙剤を使ってみましょう。
コウモリを追い出したらフンの掃除をしよう!
場所に合った方法でコウモリを追い出したら、かならずフンの掃除もおこないましょう。フンがあると建物が汚染されたり、フンに含まれる病原菌・雑菌が空気中に漂い健康被害につながってしまうからです。コウモリのフンの掃除手順は、次のとおりです。
- ゴーグル
- 帽子
- マスク
- 手袋
- 長袖・長ズボンの汚れてもいい服(掃除の後に捨てられるものがよい)
- 雨がっぱ
- ゴミ袋
- ほうき、ちりとり
- 雑巾
- アルコール(漂白剤でもOK)
- 準備したものの中から、衣服を着用して準備する
- コウモリのフンをほうき、ちりとりで集めてゴミ袋に入れる
- フンを片付けた場所を、雑巾とアルコールで拭く
- 身につけていたものをすべてゴミ袋に入れ、袋の口を堅く縛ってゴミに出す
コウモリのフンを片付けるときは、かならず手袋とマスクを着用します。コウモリのフンは簡単に崩れて粉末状になるので、口や鼻から体内に入ったり、目の粘膜に付着したりしないよう、マスクやゴーグルも忘れないようにしましょう。
清掃が終わったら、もしできるなら、掃除に使ったほうきやちりとりなども一緒にゴミとして処分すると、より安心です。
コウモリ駆除2.侵入口を塞ぐ方法
コウモリを追い出しただけでは、駆除は完璧とはいえません。侵入口となる小さな隙間を封鎖しないと、ふたたびコウモリが帰って来るおそれがあるからです。
ここからは、コウモリの駆除でとても重要な、侵入口を塞ぐ方法についてご紹介します。コウモリは小さな隙間からでも入ってきてしまうので、しっかり侵入口を見つけて塞いでおきましょう。
コウモリの侵入口ってどこにある?
コウモリは、次のような狭い場所を侵入経路にして家の中に入ってきます。
- 屋根(屋根瓦)にある隙間
- 室外機などの配管や通気口
- 換気扇周辺の隙間
- 窓、ドアの隙間
- 壁の亀裂や穴
コウモリは羽根をたたんだときの体長がとても小さいため、1.5センチメートルの隙間があれば、屋内に簡単に入り込むことができます。場合によっては、素人目にはほとんど気づかないような小さな隙間から侵入することもあるので、小さな隙間も見過ごさずにすべて埋めるようにしましょう。
1.パテを使って隙間を埋める
コウモリの侵入口を埋める際に使いやすいのが、パテです。パテは少しねばり気のある接合材で、乾燥すると固くなります。パテを壁の亀裂や穴に塗って、コウモリが入り込む通路をなくしておきましょう。
このとき、どうしても穴を開けておかなくてはならない場所に、あやまってパテを塗ってしまわないように、注意が必要です。換気扇周辺など、空気を通さなければいけない隙間には、次でご紹介する「金網」を使いましょう。
2.金網を使って隙間を埋める
通気性を確保しなくてはならない場所にある隙間には、金網を使います。金網を使えば、空気を取り入れながらもコウモリの侵入を予防することができます。市販のコウモリ・ネズミ用の金網にはおもに、「亀甲金網」「パンチングメタル」があります。
亀甲金網
亀甲金網は柔らかい素材でできた金網です。なまえのとおり、亀甲型(六角形)の穴が並んでいます。そのままだと穴が大きいので、2~3重に網を重ねて使いましょう。手で持って力を加えると、変形させることができます。そのため、狭い隙間に挟み込んだりすることも可能です。
パンチングメタル
パンチングメタルは、規則的に穴が空いた固い鉄板のことを指します。固くて頑丈なので簡単には変形させられませんが、その代わりに耐久性があり、長期間使用することができます。
それぞれの特徴をよく照らし合わせて、用途ごとに使い分けてみましょう。
コウモリのフンによる感染症に注意しよう!
コウモリ駆除の際にコウモリのフンの扱い方を間違えると、深刻な健康被害につながってしまうこともあります。ここからは、正しいコウモリのフンの扱い方について説明します。安心安全にコウモリ駆除をおこなうために、役立ててみてください。
コウモリのフンには病原菌がたくさん
コウモリのフンが危険な理由は、病原菌がたくさん含まれているからです。海外ではコウモリが次のようなウィルスや菌を持っていることがあり、人間への感染が危惧されています。
- 狂犬病
- ニパウイルス
- ハンタウイルス
- アルボウイルス
- リッサウイルス
- ヘンドラウイルス
- ヒストプラズマ症
これらの病気の中には、脳症や呼吸困難などが起きて死に至るものもあります。日本では未確認の病気も多いですが、コウモリのフンが病原菌の温床であるということには変わりがないので、正しい方法で処分する必要があるのです。
コウモリの遺伝子は人間の遺伝子と近い形をしており、コウモリが持つ病原菌が人間に感染することもある(「人獣共通感染症」)と考えられています。コウモリは人間にとって危険な病原菌を多く持っており移しかねないため、フンの扱い方には慎重にならなければなりません。
コウモリのフンには害虫が寄りつくこともある
コウモリのフンを放置していると、それを好む害虫が発生することもあるので注意が必要です。また、コウモリにはもともと多くの寄生虫が付着おり、フンを放置することでその寄生虫が増えて広がるおそれもあります。
コウモリのフンに寄りつく害虫
- ゴキブリ
- ゴミムシダマシ
- カツオブシムシ
- ニセセマルヒョウホンムシ
コウモリにもともと寄生しやすい虫
- コウモリマルヒメダニ
- マダニ
- コウモリトコジラミ
コウモリに寄生しやすい虫の中には、人間に噛みついて血を吸うものもいます。強いかゆみを伴う湿疹が皮膚に発生したり、べつの病気の感染源になったりすることもあるので、害虫がはびこるまえになるべく早くフンを駆除する必要があります。
コウモリの被害が収まらない場合は……?
コウモリの被害が収まらない場合は、早めに駆除業者に依頼することが大切です。家に住みついているコウモリを放置すると、数年後には100匹を超える大群になる場合もあります。コウモリは家族単位で生活する生き物なので、群れができてしまうからです。
コウモリのメスは約5年の寿命を持つといわれており、1年のうちに2~3匹の子どもを産むことが多いです。寿命をまっとうする間に繁殖を繰り返し、そこで生まれた子どもがまた繁殖し……と繰り返していくと、コウモリの数はねずみ講式にどんどんと増えていきます。
数が増えるにしたがってフンによる害や騒音もひどくなるため、コウモリを放置するのは危険です。数年放置しただけで100匹以上にもなっていた例もあるというほど、繁殖力の強いコウモリですので、DIYで被害が収まらない場合は、すぐに業者に対処を依頼しましょう。
プロのコウモリ駆除業者がしてくれること
プロのコウモリ業者は、一般の人にとっては不慣れな手順にも正しく気を配りつつ、徹底的にコウモリ駆除をおこないます。一度駆除したとしても、小さな隙間から入り込んでふたたび戻ってくることもあるコウモリに、プロならではの鮮やかな手際で徹底的に対策するのです。
- 依頼者の代わりに不衛生な場所に入って作業をする
- コウモリを確実に追い出す
- コウモリの侵入経路を確実に探し当てる
- 侵入経路を適切な方法で塞ぐ
これら以外にも、業者の中には、コウモリのフンによって汚染された屋根裏の床や下階の天井を修繕サポートしてくれる会社もあります。一般の人が自力で駆除をすると、確実に駆除できない場合もありますので、不安だったり自信がなかったりする場合は、業者に依頼するようにしましょう。
コウモリについてのお困りごとは電話で相談してみよう!
コウモリについて困りごとがある場合、すぐに契約する必要はないので、一度気軽に相談してみるとよいでしょう。駆除業者を決めるよりも前に次のことを電話で聞いて、依頼先を吟味しましょう。
- 駆除内容と料金体系
- 追加料金がかからないか
- 建物の修繕のオプションがあるかどうか(希望の人のみ)
- アフターフォローがあるかどうか
- 電話口の応対がていねいかどうか
上記の内容をご確認のうえ、依頼先候補となる複数の業者の情報を集めて、よく比較しましょう。作業内容と価格設定がより明確で、誠実な応対の業者を選ぶと、業者選びの失敗を回避しやすくなります。
まとめ
コウモリ駆除は、コウモリの生態と法律の面から、一筋縄ではいかないことが多いです。コウモリを傷つけないように追い出してから、侵入口となる小さな隙間を徹底的に埋めなければならず、プロでなければ徹底駆除が難しい一面もあります。
コウモリを放っておくと年々数が増えて100匹以上の大群となるおそれもあるため、家に住みついている気配がしたらすばやく対処する必要があります。羽音による睡眠障害やフンによる健康被害・建物の汚染が発生したり、悪化したりするまえに、すばやく駆除することが大切です。
住居のどこかにコウモリの気配がする場合は、弊社にご相談ください。弊社では、お電話でのご相談を無料で承っております。コウモリがいるのかどうかの調査からのご依頼や、お見積りだけのご用意、ご予算のあるご相談など、いつでもお気軽にご利用ください。
また、ご契約時には、現地スタッフが現地調査をおこない、正確なお見積り金額をお伝えいたします。契約後に追加料金が発生することはありませんので、安心してご利用いただけます。いつでもお気軽にご相談ください。