日が暮れると、空を自由に飛び回りだすコウモリ、あまりじっくりと観察する機会は少ないかもしれません。画像などでコウモリの顔を見たことがある人もいると思いますが、けっこうかわいらしい顔をしているんです。
そんなことから、コウモリをペットとして飼いたい、と思うかたも少なくないと思います。では、どのようなコウモリがペットに適しているのか、エサは何を与えればいいのか、飼育に必要な道具は何なのか、など、コウモリに関する情報をまとめてみました。
コウモリを飼育したいかたは記事を最後まで読んで、参考にして頂ければ幸いです。
コウモリをペットにするときは種類を確認しよう
みなさんの中にコウモリをペットとして飼いたい、と思ったかたがいるかもしれません。ですが同時に、コウモリに対するマイナスのイメージも浮かんだと思います。病原菌をもっていそうとか、噛みついて血を吸うんじゃないのか、などです。
そういった気になる点を踏まえて、野生のコウモリは飼育することができるのか、ペットに適している種類のコウモリは何なのか、など、飼育可能な種類のコウモリについて簡単にご説明していきます。
野生のコウモリはペットNG!
日本に多く生息するアブラコウモリの体表にはダニやシラミ、カビ菌など、私たちにとって有害なものがたくさん付着しています。体内にも複数の病原菌を保有しているため、噛まれると大変です。絶対に素手で触ることはしないようにしましょう。
また、アブラコウモリは鳥獣保護法によって守られています。許可なしに勝手に持ち帰って飼育したり、保護したりするのは法律違反になります。違反した場合は厳しい罰則が与えられます。どうしても保護したいときは、県の自然保護課や保健所に確認を取りましょう。
ペットにできるコウモリとは?
野生のコウモリの飼育ができないのはわかったけど、じゃあコウモリは飼うことはできないんじゃないか、と思われたかたもいると思います。詳しい入手方法は後にご説明しますが、「フルーツコウモリ」という種類のコウモリが飼育に適しています。
このコウモリは主に果物を主食にしていて、病原菌も保有していません。性格も温厚でちゃんと育てれば人に懐くコウモリです。
コウモリはどんな性格をしているの?
みなさんが思い浮かべるコウモリのイメージとはどんなものでしょうか。ドラキュラのモチーフとなっているので、人に襲いかかって吸血するイメージを浮かべたかたもいるかもしれません。ですが、実際に吸血コウモリは世界に三種類しか存在せず、その中でも人の血を吸うコウモリは一種類だけです。
そのコウモリとは、中南米に生息する「ナミチスイコウモリ」というコウモリです。また、このコウモリはめったに人を襲うことはせず、主に家畜を狙って吸血します。ほとんどのコウモリは温厚な性格をしているようです。
ペットコウモリの気になるエサは?
コウモリの中でペットに適しているのは「フルーツコウモリ」という種のコウモリです。このコウモリを飼育するとして、エサはいったい何を与えればいいのでしょう。名前の通りフルーツコウモリはフルーツを食べますが、エサとなるものはほかにもあります。では、フルーツコウモリは何を食べるのかまたはそれらの与え方についてご紹介していきます。
フルーツ
前述しましたが、フルーツコウモリは名前の通りバナナやリンゴなどフルーツを主食としています。フルーツを与えるときにはコウモリの口に入るくらいの大きさに刻んでから与えるようにしましょう。また、一度にたくさん与えず、少しづつ食べさせてあげてください。
ローリネクター
これは動物用の粉ジュースのことをいいます。与える際は水で溶かしてスプーンで与えます。割合は水:粉=1:1.5です。もし、コウモリが上手く飲めない場合は、粉を直接振り与えてください。
ビーポレン
花の蜜と花粉で作られているペット用の栄養補助食品のことをいいます。インターネットでよく売られているモモンガ用のものでも代用することができます。
ゴートミルク
ヤギの粉ミルクです。コウモリのタンパク補給の際に与えます。与え方はローリネクターと同じで、水に溶かしてスプーンで少しずつ与えてください。
コウモリにも好き嫌いがあり、健康面も考えると、同じエサをずっと与え続けるのはあまりよくありません。バランスよくたくさんのエサを与えて、ぜひコウモリを長生きさせてください。
コウモリを飼いたい!どこで手に入れる?
野生のコウモリはたくさんの病原菌を保有しています。さらには「鳥獣保護法」に守られているので、野生のコウモリをペットとして飼育することはできません。ではいったいコウモリはどこで手に入れればいいのでしょうか。
ペット用のコウモリの入手方法と、コウモリ1匹の値段の相場など、これからコウモリを飼いたいかたのための情報をまとめてみました。
ペットショップ
どんな種類であろうと野生のコウモリは飼育することはできません。コウモリを飼育したいのであれば、ペットショップで売られているコウモリを購入するしかありません。原則として飼育可能なコウモリは、人の手によって繁殖された個体のみです。
個体の値段はいくら?
現在、コウモリは輸入が禁止されているため、入手が難しくなっています。相場は50,000円~100,000円くらいです。この先、コウモリの個体数は減っていきます。ですので、購入金額が今より高くなる可能性があります。どうしてもコウモリを飼いたいかたは、早めに購入しておくか、専門店に予約しておくのがいいかもしれません。
【ペットコウモリ】準備するものとは?
コウモリをペットとして飼育するには当然ケージなどが必要になってきます。ではコウモリに適したケージや、そのほか必要なものとはどのようなものがあるのかをご紹介していきます。
ケージ
コウモリはぶら下がる習性があるので、上部が金属になっている大きめのケージを用意しましょう。また、ケージの隙間に指や翼が挟まって、コウモリがケガをしてしまうことがあるので、コウモリが隙間に指や翼を挟まないような網目の大きなケージ、または水槽型のケージを購入してください。
給水機
生命を維持することにおいて水分は絶対です。コウモリはぶら下がる習性があるので、平皿などに水を入れるのではなく、いつでも水が飲めるように壁に取り付けられるボトルタイプのものにしましょう。
温度調節装置
もともと熱帯地域に生息するフルーツコウモリは温度に敏感です。温度変化の激しい日本では室温を整えてあげないとコウモリは体調を崩してしまいます。温度調節装置を使って、コウモリを飼育する部屋の室温は常に一定を保つようにしましょう。
コウモリのために!守るべき4カ条!
コウモリをペットとして飼育する際には注意しなければいけない点がたくさんあります。もともとペットショップに売っているコウモリは日本には生息していないので、飼育環境を本来住んでいた地域の環境に近づけなければいけません。コウモリを飼育する際に守るべき4つのポイントをご紹介していきます。
掃除はこまめにしよう
コウモリは排泄回数が多く、糞の臭いも強烈です。ケージの中が排泄物でいっぱいになってしまうと、コウモリはストレスを感じてしまい、長生きができなくなってしまいます。コウモリに長く愛情を注ぎたいのであれば、ケージの掃除は頻繁におこなわなければいけません。
また、ケージの外でコウモリを飛ばしているのであれば、なるべくものが少ない部屋にするといいでしょう。コウモリを運動させている間は、部屋の床に新聞紙などを敷いておくと掃除が楽になるのでおすすめです。
運動不足にならないようにしよう
野生のコウモリは一日にたくさん運動をします。ペットショップで購入したコウモリも同様に運動が大好きです。コウモリを自由に飛ばせてあげる時間を一日の中に取り入れましょう。
なるべくケージの外でコウモリを運動させてあげるのがいいですが、どうしてもそれができないというかたは、コウモリが十分に飛び回ることができるくらいに大きなケージで飼育してあげてください。
温度管理をしよう
先ほどもご説明しましたが、フルーツコウモリは本来熱帯地域に生息する生き物です。寒さにはすごく弱いので、室温は常に25℃~30℃を保つようにしましょう。
しかし、エアコンをつけっぱなしにしておくと、気になるのが電気代です。電気代が気になるかたは、小型のペットヒーターをケージに取り付けてあげるのがいいでしょう。ペットヒーターを用いた方が、電気代を抑えることができます。
また、サーモスタットを温度管理機器と併用するのもおすすめです。サーモスタットとは、温度管理機器に取り付けることで自動で温度を調節してくれるもので、外出中や就寝中など人が温度調節できないときにも自動で温度調節をおこなってくれます。
コウモリは規則正しい生活をします
コウモリは規則正しい生活リズムで飼育しないと、ストレスを感じてしまい、体調を崩してしまいます。エサを与える時間、運動の時間、ケージを掃除する時間は決めておくのがコウモリを長生きさせるコツです。
まとめ
野生のコウモリはたくさんの病原菌を体内に保有しており、さらには「鳥獣保護法」によって守られているので、飼育することはできません。どうしてもコウモリをペットにしたいかたは、ペットショップで購入しましょう。
また、野生のコウモリは家に住みついて、私たちに害を与えてくることもあります。法律のこともあって、自力で駆除することが難しいのであれば、業者に相談することをおすすめします。
コウモリはデリケートな生き物です。飼育環境には細心の注意を払いましょう。また、生活リズムを整えてあげることも大切です。適温でなく不衛生な飼育環境や乱れた生活リズムでは、コウモリはストレスを抱えてしまい、長生きすることはできません。愛情をたっぷりと注ぎ、コウモリがストレスを感じない環境で飼育してあげることが大切です。