コウモリと言えば、吸血鬼ドラキュラの背後に飛び交うイメージがあります。しかし実際は、日本に住むコウモリは人間を吸血するどころか、植物を枯らすような害虫を食べてくれます。コウモリの主食は昆虫で、なんと1日で昆虫を500匹以上も食べるといわれています。しかし、私たちの家にコウモリが住みついたらやっぱり良い気はしないものです。
今回は、コウモリが住みつく家はどのようなものか、ご紹介していきます。コウモリを追い払う対策についてもお伝えしていきますので、家にコウモリが住みついて困っているという方はぜひご覧ください。
コウモリが住み着く家の特徴とは?
コウモリが住み着く家とは、一口で言うと「古い家」です。なぜ古い家にコウモリが住みつくのかというと、古い家というのは老朽化しているため、すき間が多いからです。コウモリは1センチメートルほどのすき間があれば、簡単に家屋の中へ侵入してしまいます。
日本の家屋に住みつくのは「アブラコウモリ」という種類のコウモリで、このコウモリの体長はわずか5センチメートルほどです。コウモリは体が柔らかく、わずかなすき間でも体を縮めれば入り込むことができます。そのため老朽化した家屋の1センチメートルほどのすき間であっても、簡単に入り込んでしまえるのです。
コウモリ発見の決め手はフンの形
コウモリのフンは5~10ミリメートルほどの大きさで、茶色をしています。乾燥しており崩れやすいのが特徴です。アブラコウモリは所々に分散してフンをすることは少なく、一定の場所を決めてフンをすることが多いといわれています。1センチメートル未満の大きさの茶色いフンを見つけたら、コウモリのフンかもしれません。
家に住み着くコウモリの実態
アブラコウモリは別名「イエコウモリ」ともいわれ、民家を住みかにする特徴があります。このコウモリの実態を知って、コウモリを寄せ付けない対策をしましょう。
家に住み着くコウモリの生態
コウモリが住み着く家には、理由があります。コウモリは寒さや雨風から身を守ってくれる、古い民家を好みます。そしてそのような民家の人目に付かない場所、すなわち天井裏や屋根裏などを好みます。天井裏や屋根裏は、人間もめったにやって来ず、自然環境からも身を守れるため、コウモリにとってはとても居心地が良いのです。
コウモリが及ぼす悪影響
コウモリと言えば、吸血鬼ドラキュラの背後に飛び回るイメージがありますが、日本に生息する野生のコウモリは、人間の血液は吸いません。しかし、世界には血を吸うコウモリは南米に生息しています。ブラジルに生息するコウモリのDNAから、人間の血液のDNAが発見されたといわれています。
一般的にコウモリが人間にもたらす被害の多くは、感染症によるものです。日本以外の地域でも、人や家畜などに共通の感染症の多くがコウモリ経由ではないかといわれています。野生のコウモリのフンにはさまざまな寄生虫が生息しているため、不用意に触ると以下の感染症にかかる危険があります。
ハンタウィルス感染症
初期には急性の高熱や頭痛、腹痛、嘔吐、筋肉痛などインフルエンザのような症状が出ます。重症化するとまれにですが、死亡するケースもあります。
アルポウィルス感染症
アルポウィルスは節足動物から、ヒトや脊椎動物に感染します。感染しても症状が出ない場合が多いです。
ヒトプラズマ症
ほとんどの人が無症状のため、気付かないことが多いです。この菌は日本にはほとんど常在しないといわれています。しかし海外に出かける人が多い昨今では,輸入感染症として国内での報告もあります。
小さなお子様やペットを飼っているお宅では、誤ってフンを口にすることがないように、フンの掃除をきちんとしておくことが大切です。
コウモリが家に住み着いたときの対処法
コウモリが家に住み着いたなと思ったら、まず侵入経路を探しましょう。外壁にすき間はありませんか?エアコンのパイプのすき間や換気扇も侵入経路になることがあります。侵入経路を探す際は、コウモリのフンを吸い込んで感染症にかからないように、マスクをしましょう。軍手や汚れても良い服などで体を保護し、体に直接フンが接触するのを避けることも肝心です。
コウモリを駆除する方法
コウモリを寄せ付けないためには、コウモリが苦手なものを使うという方法があります。
コウモリの嫌うものを使う
夜行性のコウモリは、光を嫌います。屋根裏に電気をつけるとコウモリを寄せ付けない効果が期待できます。また、ハッカなどの匂いを嫌うため、スプレーにして吹きかけておくと即効性があります。しかし匂いによる効果は持続しないので、定期的に侵入経路にふりかけておくと効果的です。
強度の高い磁石を設置しておくと、コウモリを寄せ付けない効果があるといわれています。そして、コウモリは高周波の音を頼りに物や位置を確認したり、仲間と連絡を取ったりしています。そのため、高周波発生装置などを使ってコウモリを追い払う方法もよいでしょう。
コウモリを予防する方法
コウモリは、1度追い出しても簡単には住みかを変えることをしません。予防策を立てないと、また戻ってきてしまいます。ただコウモリを追い払うだけでなく、その侵入経路を防ぐことが大切です。
コウモリのエサをなくす
コウモリは昆虫を捕食して生きています。そのため、コウモリのエサとなる昆虫がいる場所は、コウモリを寄せ付けやすいといえます。もし昆虫が寄ってきやすいゴミ箱や水槽などがあるのなら、置き場所を変えるかもしくはフタをするなどの対策が必要です。
コウモリの苦手なものを置いておく
コウモリが嫌うのは光を反射するものです。CDなどの光を反射してキラキラ光るものを軒下につるしておくと、コウモリを寄せ付けない効果があるといわれています。市販のジェルタイプの忌避剤を使うのも、1つの方法です。コウモリが嫌う匂いがする忌避剤を侵入経路に置いておくことで、寄せ付けない効果があります。
不安なときは業者に依頼しよう
今まで見てきたような方法を試しても、コウモリが寄ってきてしまう…という場合は、業者に依頼することも考えましょう。
業者に依頼したほうがよい場合
コウモリは「鳥獣保護法」で駆除を行うには許可を取らねばなりません。コウモリは法律的には人間に利益をもたらす益獣(えきじゅう)と捉えられており、無許可でコウモリを駆除すると、法律により罰金を払わなければならないこともあります。
もし今まで見てきた方法でも効果がなく、ご自分での駆除が不安でしたら、鳥獣保護法を守った上で適切な対策をしてくれる業者に依頼した方が安心だといえます。
業者選びで気をつけたいこと
コウモリの駆除をする業者を選ぶ際にはホームページなどを確認し、コウモリの駆除の経験が豊富な業者を選びましょう。そして複数の業者から見積りを取ってもらい、比較検討した上で選ぶことが大切です。インターネットでの口コミが良く電話での対応が親切な業者なら、より安心して任せられるでしょう。
まとめ
コウモリが家に住み着かれるのは嫌なものですが、日本に生息するコウモリは「鳥獣保護法」で守られており、殺傷したりして退治をすることができないことになっています。コウモリは法律的には人間に利益をもたらす益獣(えきじゅう)と捉えられており、私達が勝手に駆除することができません。
法律でも益獣とされているように、しっかりとコウモリの特徴を知ってしかるべき対策をとれば、コウモリは人間の血を吸う蚊ほどには有害ではないでしょう。今回の記事でご覧になった情報を、ぜひ今後のコウモリ対策に活かしていただければ幸いです。